拝啓

わかってくれないのだとわかったとき、諦めました。対話することも、争うことも。全て自分が受け入れて飲み込むことで収まることを学びました。

あんだけ言って知らないでしょう、あれからずっと自分を責め続けて、でもそれでも辛くて夜道で泣いたり布団を濡らしたり、バイト中に涙流しそうになったり。

知らないだろうな、いいんです。

それはあなたの正解だったはずです。それがたまたま私の負荷であっただけで。

でも覚えていますよ、あなたが作ってくれた炒飯の味もツインテールの高さも。だから嫌いになれないから、あなたからの言葉に真正面に傷ついてしまいます。少しの心配が混ざっていたのもなんとなく感じ取れていました。ありがとう。

でもわたしはだめでした。あなたの存在が理性では受け入れられても本能の範囲内で拒否してしまうんです。いえ、正直、考えてもあなたの考えが理解できないことが多々あるんです。

それが冒頭の、対話を諦めたことに繋がります。きっと、あなたもそうでしょう。分かり合えないんです。異世界の住人です。そもそも、育ってきた環境が違うのだから考えが違って当たり前。過ごした時間も少なかったのだからそこの擦り合わせができてなくて当たり前だったんです。そこは親の責任だとは個人的に思ってしまいますが、そこを理解できてなかったのは私の責任です。家族内でもそうなんです。だって、臓器も脳も体もHPも全部違うんだから。違って当たり前なのだから、理解できなくて当然なのです。私が、最初に対話を諦めたせいかもしれません。ごめんなさい。家族なんだから を押し付けられて、苦しかったです。家族だからなんでも話さなくてはいけないとか、家族だから出来ることは同じとか、そんなことないです。家族以前に一個人なので。私ができてあなたにできないこともきっとあるんです。それが当たり前なんです。もう泣いて眠る夜を過ごしたくないので、何も言わないでください。この家庭のがん細胞は3月末にいなくなります。猫と遊べなくなるのは悲しいし辛いけど。安心してください。そこからは安寧の地です。わたしは、必死こいて頑張ります。あと2年…2年経ったら、死のうと思います。